私が毎月リサイタルをしているアートスペース萌芽サロンは、絵のギャラリーも兼ねています。とある日のコンサートで、この絵に出合いました。この奥深い緑輝く星に、霜のようにちりばめられたクレーター、ピアノの前に座っている人物の寂しそうな朧げな影に心惹かれました。そして、この感動的な絵を描いてくださった画家、横溝真由さんから以下のお言葉を頂きました。
”ベートーベンの「月光」はいつも月の情景が浮かぶ大好きな曲です。土屋さんの音でさわりを聴いた時、その深く優しいフレーズを受けてわきあがった感覚に圧倒されました。明るすぎる月に照らされた不安とも恍惚ともいわれぬ感情、望遠鏡でみたクレーターの影、海に沈む月と潮の香り。次々とあふれだす情景に馴染み深い曲がまるで初めて聴いたように響き、不思議にも新しい感覚を味わったのです。その時のイメージを佇まいも魅力的なピアニストに感謝しながら作品にしました。”